ShareAlikeについて考えてみました。

絶対自分の著作物は死守!と言わんばかりの“無断使用禁止”とか“All rights reserved.”という情報や素材、成果物も多いですが、いわゆる広義の“フリー素材”もどんどん増えてきました。自分が補助的に使いたいと思っている資料や文章や素材が“フリー”で提供されているとありがたいと思うことも多いんですが、この“フリー”という言葉、実にあいまいなんです。

フリーって、自由っていう意味合いが基本的にはあると思うんですが、「無料」って意味もある場合もあるし、「儲けをを出さない場合のみ無料」っていいたい場合もあるんですね。自由に作品を改変してもいいよという意味合いが強い場合もあります。なので「フリー」って書いてあっても、ちょっと調べたり考える必要があります。

前置きがながくなりましたが、何がフリーなのかを明確にするために、いろいろなライセンスが存在します。まったく自由のパブリック・ドメインから、ある程度の自由はあるけれど制約や義務も課されるライセンスまで様々です。

今回は、ShareAlikeについて考えてみました。クリエイティブ・コモンズでよく使われる言葉で、「継承」と訳出されています。

元々他の方のウェブサイト上にあった画像に、CC-BY-SAと書いてあった。それに加工を加え、二次著作物を作ったとしたら、その二次著作物にもCC-BY-SAを適用しないといけない(つまり継承)ということです。二次著作物に「加工禁止」「再配布禁止」などの禁止事項を付け加えることはできません。

ここでほのかな疑問。インターネットで取ってきたCC-BY-SA画像を加工した二次著作物を、再度インターネットで掲載し、CC-BY-SAですよと明示する場合は特に問題ないでしょう。もはや他の人が取っていって、さらに独創的な三次著作物を作ることをだれも止めることはできません。

でも、そこまで公にさらさない状態で使用したい場合もあるでしょう。「継承」が義務付けられている著作物を、会社の営業マップの下絵にしたいとか、息子のぬり絵に活用したいとか、プライベートなフォトレタッチの勉強に使いたいとか。もし、四角四面に解釈すれば、最初のライセンスの「継承」が必要ですから、顧客情報を加えた会社の営業マップも、お世辞にも美しいとはいえない状態に仕上がった息子のぬり絵も、フォトレタッチの失敗作も、最初にあった作品の状態を「継承」し、再配布に応じたり、たとえばインターネットにアップロードするなどして公衆にさらさないといけないのでしょうか。

クリエイティブコモンズのWikiページ(英語)にこんな文章が載っていました。

The ShareAlike condition only applies when a work is publicly shared. You are not obligated to share things you make from SA works–you may create remixes and adaptations that you do not publish. If you are using ShareAlike materials privately and not sharing them with others, you do not have to comply with the license conditions. For example, if you translate a ShareAlike work for internal use within your office, you do not have to license your translation under an SA or compatible license unless you plan to share it with others.

ShareAlikeの条件は、その成果物が公に共有されるような場合にのみ適用される、ということのようです。例として、あなたの仕事場で内部利用するための文章を翻訳した場合はShareAlikeの条件を適用する必要はない(つまり翻訳結果を公に公表しなくてよい)、と読めます。ただし、それを外部の人と共有するようなことがあるのなら、やはりShareAlikeの条件を適用しないといけないようですね。

OpenStreetMapを支えるOSMFでは、ShareAlikeを以下のように定義しています。

What do you mean by Share-Alike?

If you publicly use any adapted version of our database, or a partial extraction from it, or works (such as maps) produced from an adapted database, you must also offer that adapted database under the ODbL.

In other words, if you improve our data and then distribute it, you need to share your improvements with the general public at no charge. A painless way to do that is to contribute your improvements directly back to OpenStreetMap.

Share-Alike only applies if you distribute what you have done to outside people or organisations. You can do what you like at home, or in your school, organisation or company … the following section does not apply to you.

ここでも、public(公)に共有するなら、ということが強調されています。最後の段落では、Share-Alikeはあなたの成果物を外部の人や組織に頒布したいときにのみ適用されると読み取れます。家や、学校や、あなたの所属する組織や学校で利用するときは、Share-Alikeに縛られることなく、自由に使えるようです。

ShareAlikeの精神としては「プライベート(家、自分の所属する組織、学校、会社)」か、「パブリック(その他)」かで線引きされていて、プライベートな使用については無理にShareAlike条項を強制しませんよ、と言っているように見えます。

脱線しますが、日本における著作権法の「私的利用」は、あくまで「個人、家族、近しい友人」あたりで線引きされ、会社や組織での配布は私的利用の枠外になるようなので、混乱しそうです。ここら辺は、何を「プライベート」とするかの価値観の違いでしょうか。

最後に大事なこと: 残念ながら、上記二つの引用は法的拘束力を持つものではなく、最終的にはライセンス条文そのものを見て判断してくださいということなので、あくまで参考としてくださいね。参考までに記した私のぶっつけ翻訳も怪しい部分もあるでしょうし…何かおかしな点に気付いた方はコメントにて指摘してくださればうれしいです。

 

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